当医療法人社団で導入したrTMSの治療には、
シータバースト刺激(theta burst stimulation : TBS)を採用しています。
TBSは従来のrTMSと比較して、より短時間(1時間程度かかっていた治療がおよそ6分)で効率的に神経修飾を引き起こすと考えられています。
また、当医療法人で行う刺激条件では、うつ病にみられる前頭前野と辺縁系領域の
機能的不均衡を是正し、意欲・判断力・思考力を改善させると考えられています。
rTMS治療を希望される方は、
まずは さちはな クリニックの診察予約をお願いいたします。
rTMS治療を希望される方は、
まずは さちはな クリニックの診察予約をお願いいたします。
すでに受診されている方は、担当医にご確認ください。
さちはな クリニックの担当医師の判断の元、rTMS治療が可能かどうかを患者さまとご相談の上決定いたします。
また、現在都合により土曜日のrTMS治療は行っておりません。
予めご承知おきください。
rTMSは、うつ病を
薬を使わずに治療をする新しい方法
ストレスの積み重ねなどで脳の働きが低下して引き起こされるうつ病や抑うつ状態に対して、
脳に磁気をあて、脳の働きを回復させることで治療する方法です。
2002年にカナダで承認され、その後2008年にアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)で
うつ病治療の医療器具として認可を受けており、
既にアメリカ・カナダ・ヨーロッパでは、多くの病院でrTMSによる治療を受けることが可能です。
そして、わが国でも2017年9月に
「薬物療法に反応しないうつ病患者への新規治療法として」薬事承認されました。
rTMS治療は治療期間も短く、仕事を続けながら通院して改善することができ、
身体への負担も少ないことから、今後期待できる新たなうつ病の治療法であると考えられています。
持続する副作用がほとんどない、薬よりも短い期間の治療、薬に依存しないなどのメリットがあります。
うつ病の実態
うつ病は、抑うつ気分、興味・関心や喜びの消失を基本症状とし、意欲や食欲、睡眠欲や判断力、集中力、思考力などが低下する精神疾患で、自殺の誘因、休職、休学など就労、就学の障害となるため、社会的損失が大きい疾患です。わが国では、およそ100万人がうつ病の治療を受けているといわれています。
現代病という言い方もされるうつ病は、日本だけでなく世界的にみても重要な問題であり、世界保健機関(WHO)の報告書によると、うつ病患者は2015年時点で世界で推計3億2200万人に達し、2005年比で18%以上も増加。うつ病患者数の割合は全世界人口の4%を超えている一方、その多くが正しい診断や適切な治療を受けられていないとの指摘もあります。
日本で行われている
主なうつ病の治療
日本でのうつ病の治療には、休養や環境調整・薬物療法・心理教育や認知行動療法などの精神療法・電気けいれん療法・rTMSなどがあります。
一般的には、まずは薬物療法・精神療法から治療を始めます。しかし、約3分の1のうつ病患者は、抗うつ薬に十分に反応しないとも言われています。
薬物治療をしているのになかなか治らない、薬を服用したくない、薬の副作用がつらいなどの理由で、rTMSが日本でも新たな選択肢として選ばれるようになってきました。
rTMS治療の原理
経頭蓋磁気刺激 TMS(transcranial magnetic stimulation)は、
電磁誘導の法則に基づいて非侵襲的に神経刺激(neurostimulation)を行う技術です。
規則的な刺激を繰り返すものを反復経頭蓋磁気刺激(repetitive TMS: rTMS)と呼び、
神経修飾(neuromodulation)を引き起こします。
刺激部位について
うつ病の治療では、背外側前頭前野が標準的な刺激部位として選択されています。
rTMSの抗うつ機序
-
ドパミン、ノルアドレナリン、グルタミン、コリン、ミオイノシトール 、神経栄養因子(BDNF)の増加
-
視床下部-脳下垂体-副腎皮質系や視床下部-脳下垂体-甲状腺系の関与
-
ストレス反応に関与いているc-FOSやDUSP-1が減少
-
電気生理的変化
などが報告されています。
うつ病の病態仮説として、前頭前野と辺縁系領域の機能的不均衡が指摘されています。
rTMSの有効性
rTMS療法の抗うつ効果の程度は、おおむね抗うつ薬による治療と同等と考えられます
医療法人社団 さちはなでのrTMS治療に関して
STEP
1
STEP
診察室にて
さちはな クリニック初診の方
30分程度
rTMS治療の適応の有無の判断
有効性及び安全性の評価
さちはな クリニックかかりつけの方
10分程度
2
STEP
TMS室にて
説明と同意
10分程度
3
STEP
TMS室にて
刺激強度、刺激部位の設定
(いわゆる、位置決め)
10分程度
4
STEP
TMS室にて
治療装置の設定と治療開始
10分程度
5
STEP
TMS室にて
初回セッションの有効性と安全性の評価
5分程度
6
STEP
TMS室にて
各セッション
(2回目以降 基本は、週5回、計19~29回)・
刺激中のモニタリング・中断の判断
10分程度
7
STEP
診察室にて
セッションの効果評価や中止の判断
適宜
初日に1〜5までを進めることも可能です。
また初日に1にて説明を聞き、後日2〜5を進めることも、
初日に1〜3までを進め、後日初回セッションを行うことも可能です。
rTMSの安全性について
全身性の副作用の出現の可能性のある薬物療法とは異なり、rTMSの副作用は、あるとしても「頭皮痛」などの局所的一時的なもののため、安全性の高い治療法と考えます。
頻度の高い副作用としては、
刺激部位の頭皮痛(30%前後)、顔面の不快感(30%前後)、頸部痛や肩こり(10%前後)、頭痛(10%前後)などがあります。これらの副作用は一過性であり、通常の鎮痛剤が有効であり、
セッション数を繰り返すなかでだんだんと慣れてくることが多いです。
頻度は稀ですが重篤な副作用としては、
けいれん発作(0.1%未満)、失神(頻度不明)などが挙げられています。
これまでにけいれんが重積した例は報告されておらず、新たにてんかんを発症した例の報告もありません。
-
rTMS 治療を受けられない方・心臓ペースメーカーをお使いの方・人工内耳や磁性体クリップなど脳内や耳などに金属類埋め込んでいる方・てんかん、けいれん発作の既往のある方・妊娠中の方 上記の方は当医療法人ではrTMS をお受けいただけません。 ※絶対禁忌は、刺激部位に近接する金属(人工内耳、磁性体クリップ、深部脳刺激・迷走神経刺激などの刺激装置)、心臓ペースメーカー ※相対禁忌は、刺激部位に近接しない金属(体内埋設型の投薬ポンプなど)、頭蓋内のチタン製品、磁力装着する義歯・インプラント、てんかん・けいれん発作の既往、けいれん発作リスクのある頭蓋内病変、けいれん発作の閾値を低下させる薬物の服用(三環系抗うつ薬、マプロチリン(ルジオミール)、テオフィリン(気管支喘息薬)、メチルフェニデート、ケタミン、クロザピン、ゾテピンなど)アルコール・カフェイン・覚せい剤の乱用・離脱時、妊娠中、重篤な身体疾患の合併などです。
-
施行前の注意事項寝不足、飲酒はけいれんを誘発しやすいです。前日の生活に気を付けましょう。施行前に注意した方が良い薬物もありますので、主治医と相談しましょう。 ヘアピン、イヤリング・ピアス、ネックレス、時計、眼鏡、補聴器、義歯などの貴金属は施行前に外していただきます。
-
費用について当医療法人のrTMSは、自費診療で行います。 保険診療では、複数の抗うつ薬に反応しない治療抵抗性うつ病の方に対してのみ、限定された刺激条件や施設条件で行います。 当医療法人では、治療抵抗性うつ病の方のみならず、うつ病の初めての治療にrTMSを行いたい方、現在薬物治療をしているけれど薬物治療以外の治療方法を希望している場合も御相談いただけます。前述の通り薬物療法を併用した方が寛解率が高いため、現在服薬中の薬を続けながらrTMSをお受けいただくことも可能です。受け方については、医師と相談しながら進めていきます。 rTMS 自費診療代 ・初回セッティング費用:5,000円 ・1回のセッション費用 :5,000円 その他 医師によるrTMS治療の適応の有無の判断・有効性及び安全性の評価を行う費用が別途かかります。
-
当医療法人で導入した機器当医療法人では、米国で承認されている刺激条件及び治療装置にて間欠的TBS(i TBS)を行います。 シータバースト刺激(theta burst stimulation : TBS)は規則的な刺激を繰り返すrTMSに対して、一定のリズムで刺激するもの(patterned rTMS)の一種です。従来のrTMSと比較して、より効率的に神経修飾を引き起こすと考えられています。
医療法人社団さちはな rTMSの考え方
薬物治療では、吐き気、悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、下痢、便秘などの消化器症状、
肝機能障害、腎機能障害、体重増加などの脂質代謝異常、眠気、傾眠、性機能障害、などの
全身性の副作用が出現する可能性があります。
これらの症状で困っている、十分な量の薬が飲めない、副作用が怖くて薬がしっかり飲めない
というような方も一度rTMS治療をご検討ください。
こんな方におすすめ
休職せずに
治療
をしたい
休職期間を
有効に
活用したい
薬以外の
治療法で
治したい
抗うつ薬の
副作用で
困っている
身体疾患も伴い、
十分量の
薬物療法が困難
※rTMSは、うつ病だけでなく、精神科分野では、強迫障害、不安障害、双極性障害、摂食障害、統合失調症、依存症などにも治療応用が試みられています。うつ病のように比較的刺激方法などが確立してきましたら、順次当医療法人でも取り入れていく予定でおります。)
参考文献
磁気刺激法の安全性に関するガイドライン(2019年版)臨床精神生理学 47巻2号 126- 130 2019
鬼頭伸輔:特集 エビデンスに基づく経頭蓋磁気刺激(TMS)治療 うつ病に対する経当該磁気刺激(TMS) リハビリテーション医学 56巻1号 38-43 2019
野田賀大:反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の適正使用指針について ―うつ病に対するrTMS治療に関する世界のガイドラインの観点から― 精神神経学雑誌 121巻5号 376-383 2019
伊津野拓司、中村元昭:反復経頭蓋磁気刺激療法の実際と留意事項 神経精神学雑誌 121巻5号 388-393 2019
鬼頭伸輔:うつ病の治療 ニューロモデュレーション療法:経頭蓋磁気刺激 日本臨床 75巻10号 1556-1560 2017
日本精神神経学会 新医療機器使用要件等基準策定事業rTMS適正使用指針作成ワーキンググループ
平成29年度新医療機器使用要件等基準策定事業(反復経頭蓋磁気刺激装置)事業報告書.2017( https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/Guidelines_for_appropriate_use_of_rTMS.pdf 2019年12月30日)
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